小臼歯を抜かない非抜歯矯正治療の症例
投稿日:2022年7月17日
カテゴリ:05.矯正(大人)の症例
小臼歯を抜かない非抜歯矯正治療①(30代 女性)
30代女性、歯並びを主訴として来院されました。
見た目も問題ですが、前歯が覆いかぶさっていない開咬という歯並びに大きな問題があります。
開咬は奥歯が高い確率でダメになる歯並びです。
また、この歯並びは高い確率で顎関節症になるとも言われています。
正常な歯並びでは、カチカチ噛んだ時には奥歯が当たって前歯は当たらず、ギチギチ歯ぎしりした時は前歯や犬歯が当たって奥歯は離れます。
それに対し開咬は、カチカチ噛んでもギチギチ歯ぎしりしても奥歯しか当たりません。
これによって奥歯が負担過剰でダメになってしまうのです。
具体的には、負担過剰で虫歯もないのに痛み出し、神経が死に、歯の根が割れ、抜歯となります。
不幸の連鎖は続きます。
抜歯したところに入れ歯を入れても痛くて使えません。歯が割れるくらい大きな力がかかるからです。
インプラントを入れても、インプラントが負担過剰でダメになります。もしくはインプラントに咬み合う反対側の歯が負担過剰でダメになります。
目立たないマウスピース矯正という方法もあるのですが、私の現在の技量では少々不安があったため、ワイヤーを使った矯正治療を行いました。
矯正治療方法は MEAW法(GEAW法)です。
MEAW法は開咬治療に非常に適した治療法と言われております。
なお、MEAW法とGEAW法の違いは使用するワイヤーだけであり、咬み合わせや治療の考え方は同じです。GEAW法の方が口の中でワイヤーが邪魔にならないと思います。
小臼歯を抜かずに歯を並べることができました。
小臼歯を抜かないとその分だけ口元が前に大きくせり出して、カラス天狗のようになるといわれることもあります。
しかし、奥歯を後ろに移動させたり横に広げたりすることによって、前方への突出を少なくしています。
開咬の改善結果としてカチカチ噛んだ時は奥歯が当たり、ギチギチ歯ぎしりした時は前歯が当たることによって、前歯・奥歯が互いを守る歯並びとなりました。
25年以上歯科治療に携わってきましたが、歯並びの悪い人はどんなに虫歯や歯周病に気をつけていても、40代から歯が悪くなってきます。
歯並びが悪いと特定の歯に力がかかり、その歯が割れたり、揺れ始めてきて、最終的には抜歯となります。
歯は普通28本あります。
悪い歯並びを社員数28人の会社に例えると、非常に人員配置の悪い会社となります。
営業が得意な人に技術開発をさせたり、有能な人を窓際に追いやったりとした状態です。
不向きな仕事をさせられた上に過剰な仕事をさせられ、しかも社員数が減ってきたにも関わらず仕事量は同じならば残された人は過労死します。歯の過労死→抜歯です。
また、小臼歯を抜かないことには他にも理由があります。
当医院では小臼歯を抜かない矯正治療としてMEAW法・GEAW法を行なっております。
MEAW法・GEAW法では「小臼歯は顎関節が後ろに行くのを防ぎ、顎関節症にならないようにする働きを持っている」という考え方を持っているからです。
虫歯や歯周病だけでなく、咬み合わせの予防 を強くお勧めします。
年齢 性別 | 30代 女性 |
治療費用 |
55万円+1.1万円×21回+保定装置5.5万円=836,000円(10%の税込) 最大に見積もって1,001,000円(10%の税込。税抜きだと91万円) |
治療期間 | 1年8ヶ月 |
リスク | ワイヤーが表から見えます。 当医院では目立たないマウスピース矯正(インビザライン)も行なっていますが、歯並びがあまりにも凸凹の方に関してはワイヤー矯正を勧めています。 |
矯正にはやり方・方法が30以上あるといいます。
「この方法が唯一正しい」というものはなく、求めるものによってやり方が違うとお考えください。
小臼歯を抜かない非抜歯矯正治療②(中学生 女子)
中学生の女の子です。小臼歯を抜かないで矯正治療ができないかということで来院されました。
犬歯が八重歯になって下の歯と接触していない方は多くの場合、犬歯より奥の歯が40代以降に虫歯や破折などのトラブルに見舞われます。
このように、著しく歯の並ぶスペースがない場合、以下の写真の矢印の歯:第一小臼歯を抜歯してスペースを作り、歯を並べることが多いです。
矯正治療の方法は30種類程度あると言われています。小臼歯を抜くか抜かないか、小学生の頃から始めるか永久歯が生え揃ってから始めるか、装置を表につけるか裏につけるか、ワイヤーを使うかマウスピースを使うかmなどです。
どれが正解ということはありません。どの方法にも利点欠点はあるからです。
当医院では小臼歯を抜かない矯正治療 MEAW法もしくはGEAW法で矯正治療を行なっています。
小臼歯を抜かない理由はこの歯が顎の関節を守っているという考えを持っているためです。
ただし、歯を抜かないわけではありません。親知らず(8番)は抜歯します。また、上顎に関しては第二大臼歯(7番)を抜きます。
「えっ?大臼歯を抜くの?」と思われるかもしれません。しかし大丈夫です。親知らずが20歳頃に生えてきて、あたかも親知らずを抜いたかのような歯並びが完成します。
終了の写真です。
長年の悪い歯並びのせいで顎の関節が右にずれており、そのズレを直すのに時間がかかってしまいました。
当医院は顎のズレ、顎関節の位置を良く診ることに力を入れています。
長い間お疲れ様でした!
期間 | 3年 |
費用 | 50万+1万×36ヶ月+税 |
メリットデメリット |
メリットは小臼歯を抜かないこと デメリットは口元の膨らみを引っ込めること、E-Lineより奥に口元を持ってくること。出っ歯の矯正はもちろんやっていますが、前歯を奥に大きく引っ込めることについてはあまり向いていないと思います。 審美的な好みにもよりますが、あまりにも奥に前歯を引っ込めると、高齢者のような願望になりますので、当医院ではあまり奥に引っ込めすぎないようにしています。 |
小臼歯を抜かない非抜歯矯正治療③(中学生 女子)
14歳の女の子です。歯並びを主訴として来院されました。
結構強度の乱杭歯です。
正面観です。
上あごの咬合面観です。
下あごの咬合面観です。
一般的には真ん中の歯から数えて4番目、第一小臼歯を抜歯し、それによってできた空隙を利用して歯並びを整えていきます。
歯並びを右上・左上・左下・右下の4ブロックに分けたとき、
1ブロックにつき前歯2本・犬歯1本・小臼歯2本・大臼歯2本
となります。
この患者さんには親知らずが上下左右4本ありました。
もし、小臼歯を抜歯して矯正すると
1ブロックにつき前歯2本・犬歯1本・小臼歯1本・大臼歯3本
という、バランスが悪くなることが懸念されました。
矯正治療はそのやり方、治療方針が30以上あるといいます。
当医院では主にMEAW法・GEAW法で行なっております。
特徴として「小臼歯を抜歯しない」ということが挙げられます。
MEAW法・GEAW法では「小臼歯は顎関節が後ろに行くのを防ぎ、顎関節症にならないようにする働きを持っている」という考え方を持っているからです。
この患者さんには8番(親知らず)がありました。
そこで4番(第1小臼歯)を抜歯するのではなく、7番を抜歯しました。
20歳頃、8番が7番の位置に生えてきて、あたかも親知らずを抜歯したかのような歯並びとして完成するからです。
下あごに関しては、埋まっている8番(親知らず)を切開して抜歯しました。
中学生の女の子に埋伏した親知らずの抜歯をするのは非常に心苦しいのですが、これによって本来あるべき4番(第1小臼歯)を抜歯しなくて済みます。
治療途中です。ゴムをご自身でかけてもらわないと、治るどころかより悪くなることがあります。
1年9ヶ月後です。
正面観です。
上あご咬合面観です。
下あご咬合面観です。
上あごは奥歯が左右1本ずつ足りません。
しかし20歳頃親知らずが生えてきて、歯並びが完成します。
年齢 性別 | 14歳 女性 |
治療費用 |
55万円+1.1万円×21回+保定装置5.5万円=836,000円(10%の税込) 最大に見積もって1,001,000円(10%の税込。税抜きだと91万円) |
治療期間 | 1年9ヶ月(21ヶ月) |
リスク | ワイヤーが表から見えます。 当医院では目立たないマウスピース矯正(インビザライン)も行なっていますが、歯並びがあまりにも凸凹の方に関してはワイヤー矯正を勧めています。 |
矯正にはやり方・方法が30以上あるといいます。
「この方法が唯一正しい」というものはなく、求めるものによってやり方が違うとお考えください。
小臼歯を抜かない非抜歯矯正治療④(中学生 男子)
中学生の男性です。歯並びを主訴として来院されました。
このような症例では多くの場合、矢印で示した第一小臼歯(4番)という歯を抜歯してスペースを作り、歯を並べていきます。
矯正治療はその考え方によって、30種類以上治療法があると私は聞いております。
どの方法が正しいというのではなく、各々に利点欠点や特徴があります。
当医院では第一小臼歯を抜歯しない矯正法の一つでMEAW法、もしくはGEAW法で治療を行なっております。
第一小臼歯を抜かない理由は、この歯が顎の関節を守っている、という考えを持っているからです。
その代わり、親知らずはたとえ中学生であったとしても抜歯します。
治療期間が短いという人もいますが、自分の感じ方としてはそれ程短くも長くもないと思います。
治療後です。
かなり凸凹の歯並びですが、歯を抜かずに並べることができました。
治療期間 | 2年8ヶ月 |
費用 |
総額約90万(税込) (55万+1.1万×32ヶ月) 兄弟や家族が治療されている場合は家族割引あり。 |
メリット・デメリット |
メリットは小臼歯を抜かないこと デメリットは口元の膨らみを引っ込めること、E-Lineより奥に口元を持ってくること。出っ歯の矯正はもちろんやっていますが、前歯を奥に大きく引っ込めることについてはあまり向いていないと思います。 審美的な好みにもよりますが、あまりにも奥に前歯を引っ込めると、高齢者のような願望になりますので、当医院ではあまり奥に引っ込めすぎないようにしています。 |
大学を卒業して約25年になりますが、長くひとところで診療をしているとどのように歯が失われていくかが見えてきます。歯並びの悪い人はたとえ虫歯や歯周病が軽度であっても、40代半ばくらいから歯が悪くなってきます。
歯並びが悪いという事は、ある特定の歯に力が余計にかかるという事です。その歯が徐々に悪くなってきて、40代半ばくらいから欠損がはじまります。
欠損した所にインプラントや入れ歯を入れても、そもそもそこに過大な力がかかって歯が無くなった場所ですので、インプラントや入れ歯がダメになったり、もしくはそこに噛み合う歯がダメになってきます。
ビッグデータの解析より、受け口の人は明らかに80歳時点で残っている歯の本数がそうでない人よりも少ないという事がわかっております。
40代の方は いまさら歯並びなんて と思わず、40代の方こそ、矯正治療をお勧めします。
40代の方はお子さんも矯正が必要な年ごろです。
当医院では家族割引を行っていますので、ご相談ください。
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