高齢者におすすめのよく噛める入れ歯
投稿日:2016年10月28日
カテゴリ:02.テレスコープデンチャー症例
80代後半の方への強く噛める入れ歯
初診時
80代女性の方です。
咬める様にして欲しいと家族の方から紹介されました。
初診時です。(H17/06/28)
初診時、義歯を入れた状態です。
また、患者様ご本人からは以下のような要望を依頼されました。
1.下の歯は手をつけないで欲しい、上の歯だけを作って咬める様にして欲しい
2.手術(外科的な治療:抜歯・骨を削る)はしないで欲しい。インプラントもしないでほしい
3.入れ歯は邪魔にならない様、とにかく小さく、低くして欲しい。
非常に悩まされる希望項目です。
下の歯は虫歯と歯周病によって、その歯並びは凸凹となり、顎をギチギチ動かすと上の入れ歯にひっかかって入れ歯を動かしてしまいます。
下の歯を治療して歯並びをきれいにしたいのですが、1の項目に反します。
「困っている所だけを治して欲しい、他は手を付けないで欲しい」という希望の方は多くいらっしゃいますが、上の歯と下の歯は一対になって機能しているため、片側だけの治療ではうまくいかないことも多いのです。
下の歯には抜歯の必要を感じるものも数本ありますが、2.の項目に反してしまいます。
入れ歯を邪魔にならないようにするには、インプラントが良いと思います。
インプラントならば、入れ歯のようなピンク色の歯ぐきの部分はありません。あっても、かなり小さくできます。
しかし、2.の項目に反します。
入れ歯が邪魔である場合、入れ歯に高さが足りない場合があります。
入れ歯が低いと口の中の容積が小さくなり、相対的に入れ歯が大きく感じられることが多々あるのです。しかし、3の項目に反します。
以上を考え、下の歯の抜歯を含む治療の必要性を説明しましたが、体力に不安ということで、下の歯の治療はひかえ、困っている上の歯だけの治療ということになりました。
1.2.3.の希望項目をすべて満たす、入れ歯の設計を再び考えることとなりました。
終了時
下の歯は治療の必要性を説明したのですが、同意を受けられなかったため、虫歯の治療は行わないこととなりました。
歯周病に関しては、薬を服用・塗布することである程度抑えることにしました。
上にも抜歯した方が良いと思われるほど崩壊した歯があったのですが、患者様の希望で残しました。
膿んではいるが残せそうな歯には治療を行い、完成までの暫間的な入れ歯として保険の入れ歯を入れました。(ここまでに3ヶ月かかっております。)
かなり小さく低く作ったのですが、なかなか受け入れてもらえませんでした。
インプラントはやりたくないとおっしゃっていたため、コーヌス義歯を私は考えていました。
しかし、あまりに入れ歯が低くなりすぎて、残っている歯の長さも短くなり、コーヌス義歯では落ちてきてしまう可能性が出てきました。
そこで歯が短くても入れ歯が落ちてこないリーゲルテレスコープ義歯とすることにしました。
完成した所です。(05/12/16)
リーゲルテレスコープ・デンチャー
初診時よりだいぶ歯ぐきがやせたように見えますが、悪くなったのではありません。
膿んで腫れていた歯ぐきが、ひきしまって硬くなったのです。
リーゲルテレスコープ義歯は写真に見られるレバーを開閉することによって、入れ歯を固定したり、はずれるようにしたりします。
80代の高齢の患者様にレバーの開閉できるか多少の不安はありましたが、3日で歯科医師より上手にできるようになりました。
「落ちてこないし、安定しているから食べ物もしっかり咬めるし、痛くもないし、しゃべることもできる」
と評価していただけました。
歯科医師の目から見ると、下の歯は悪い所がまだだいぶあります。
治療している最中はもっと治療すべきではないだろうかと思っていました。
しかし、終わってみると、これで良かったのかもしれません。
患者様の「咬める」という言葉を聴いた時、
「医者から見た理想の姿を患者様に押し付けて、患者様に無理をさせていないか。
患者様の満足感ではなく、『きれいな治療を行った』という医者の自己満足を優先させてはいないか。」
と思ったからです。
人にはそれぞれ都合も事情も健康観も経済力も違うのだから、治療のゴールも違うし、一生かけて最後まで診て行けばいいのでは・・・。
と思いました。
料金は¥979,000(税込)でした。
内訳は以下の通りです。
被せ物の部分 :¥176,000(税込)×3本
レバーの部分 :¥ 55,000(税込)×1ヶ
レバーの軸部の歯 :¥176,000(税込)×1本
義歯の部分 :¥220,000(税込)×1床
歯科医師から一言
どんな治療方法にせよ、利点と欠点は必ずあります。
テレスコープデンチャーは入れ歯と被せ物を一体化した形の入れ歯です。
入れ歯という物体が、口の中に入るということが欠点かと思います。
しかし、以下の様な利点があります。
1. 残っている歯の本数が少ないほど、治療回数が少なく、かつ、治療費を抑えることができます。
(インプラントや他の治療は残存歯が少ないほど治療費がかかります。)
2. 従来の入れ歯は、バネのかかっている歯がダメになると作り直しをしなければなりませんが、
テレスコープデンチャーは修理して使えます。壊れないわけではありませんが、修理して長く使えます。
3. 従来の入れ歯はバネでひっかけているので動きがありますがテレスコープデンチャーは動きが少ない。
4. 動きが少ないのでよくかめます。
5. 動きが少ないので異物感が少ない。
6. 特別な外科処置、手術を必要としません。普通の歯科治療の範囲でできます。
よって高齢者、高血圧や糖尿病の方、その他の有病者、インプラントをするには難しいと言われた方でもできます。
7. 清掃がしやすい。介護をする方も、される方も非常に楽です。
口の中の衛生状態が、さまざまな全身疾患をひきおこすことが分かってきた現在、これは重要なことと思います。
年齢 | 80代女性 |
---|---|
治療費 | 979,000円(税込) |
リスク・注意点 | ・入れ歯は経年による劣化、日々の使用によって摩耗していきます。 ・日々のお手入れ、定期的な咬み合せの調整が必要となります。 |
介護の際におすすめの違和感のないよく噛める入れ歯
歯がグラグラして、かむと痛い
60代男性。インターネットをご覧になり、来院されました。
「奥歯がグラグラして、かむと痛い」とのことでした。
手で触ってもコマのように動きます。
歯科オペラデンタル浜松はいらっしゃる前に、2軒ほど他の医院にいらしたそうです。
歯を残せないのは本人も覚悟されていました。
患者様の希望は抜歯した後インプラントとすることなのですが、両方の医院から「それは難しい、入れ歯にした方が・・・」と診断されたとのことでした。
入れ歯は入れたことがなく、強い抵抗感を感じたため、インターネットを介して歯科オペラデンタル浜松はいらっしゃいました。
一番奥の歯の根が、だいぶ露出しています。それだけ骨がなくなってしまったということです。
余談:数本の歯の根もとがすり減って、くびれているのがお分かりいただけるでしょうか。以前は歯ブラシを横に強く押し当てているためと言われていました。しかし、そうではない事がわかってきました。
これは歯ぎしり・くいしばりなど、歯に強い力がかかっているためと言うことがわかってきたのです。
自前の歯ですら、あごの力で破壊されるのです。
人工物において、ましておやです。
虫歯を予防し、人工物をできるだけ入れないようにする大切さを切実に感じます。
レントゲン写真:骨の量
歯の全体写真です。
赤丸で囲った部分が問題の部分です。
拡大します。
赤線より上があごの骨です。
緑の斜線がひかれた部分は上顎洞と呼ばれる空洞です。
上顎洞は眼の下にある大きな空洞で、蓄膿症になったときに膿がたまる場所です。
つまり、この患者様の場合、あごの骨がなくなってしまい、上顎洞と口の中をさえぎる骨の厚みは紙一枚といった状態になってしまっているのです。
もちろん、その空洞の中に骨を作り、作った骨の中にインプラントを打ち込むと言う方法もあります。(サイナスリフト ソケットリフト)
しかし、それは一般歯科ではなく口腔外科手術の類になってしまいます。また、それだけやっても、インプラントができないこともあります。もし、サイナスリフトやソケットリフトを希望されるなら病院紹介と言う形になります。
以上を説明いたしました。
患者様は全身的な疾患の関係もあり、手術はためらいを感じるとのことでした。
そこで歯科オペラデンタル浜松は
スーパーハイリスク・スーパーハイリターンのインプラントではなく、ローリスク・ハイリターンのテレスコープデンチャーを提案いたしました。
注):この患者様にとってのインプラント治療がハイリスクと言うだけであって、インプラント治療自体がハイリスクと言うわけではありません。
事実、オペラデンタルでもインプラント治療は行っております。
抜歯した状態
抜歯した状態です。
あごの骨が大きく陥没しているのがおわかり頂けるでしょうか。
リーゲル・テレスコープ・デンチャー
完成した義歯です。
「なんですか、このレバーは?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
このレバーをリーゲルといい、これがついた義歯をリーゲル・テレスコープ・デンチャーといいます。
コーヌス・テレスコープ・デンチャーと同じく、ドイツで開発された入れ歯の最終進化形といえるものです。これを越える機能を持つ人工物はインプラントくらいかと思われます。
次回はローリスク・ハイリターンのテレスコープデンチャーについて説明しようと思います。
リーゲル・テレスコープ・デンチャーとは
残っている歯に連結した被せ物を被せます。
連結部には四角い穴が開いています。
この穴にレバー(リーゲル)の突起部分がはまり、
義歯が固定されます。
リーゲル・テレスコープ・デンチャーとは
裏から見たところです。
リーゲルが回転して
被せ物の中に収まるのがおわかりになるでしょうか。
かみ合わせを診る
咬合器は必須です。
咬合器は必須です。口腔内のリーゲル・テレスコープ・デンチャー
はめる時はリーゲルを開き、
リーゲルを閉じると外れなくなります。
コーヌス・テレスコープ・デンチャーは入れ歯を出し入れする時、歯に引き抜く力がかかります。しかし、リーゲル・テレスコープ・デンチャーの場合、歯に引き抜く力は全くかかりません。
そのため、ぐらつきのない歯であるならば、コーヌスよりもリーゲルのほうが歯に優しく、歯を残しやすいのです。
しかし、たった一つ欠点があります。手先が器用でない方、例えば脳梗塞などで手が不自由になった方の場合、リーゲル・テレスコープ・デンチャーをはずすのは一苦労になってしまうのです。
費用は\979,000(税込)でした。
内訳は以下の通りです。
被せ物の部分 :\176,000(税込)×3本
レバーの部分 :\55,000(税込)
レバー軸部の歯 :\176,000(税込)×1本
義歯の部分 :\220,000(税込)
リーゲル・テレスコープ・デンチャー
義歯が入っているのがおわかりになるでしょうか。
術前
抜歯後
義歯装着
歯科医師から一言
どんな治療方法にせよ、利点と欠点は必ずあります。
テレスコープデンチャーは入れ歯と被せ物を一体化した形の入れ歯です。
入れ歯という物体が、口の中に入るということが欠点かと思います。
しかし、以下の様な利点があります。
1. 残っている歯の本数が少ないほど(失った歯が多いほど)、治療回数が少なく、かつ、治療費を抑えることができます。
(インプラントや他の治療は残存歯が少ないほど治療費がかかります。)
(逆に2本くらいの歯の欠損の場合、インプラントの方が治療費を抑えられることもあります。)
2. 従来の入れ歯は、バネのかかっている歯がダメになると作り直しをしなければなりませんが、
テレスコープデンチャーは修理して使えます。壊れないわけではありませんが、修理して長く使えます。
3. 従来の入れ歯はバネでひっかけているので動きがありますがテレスコープデンチャーは動きが少ない。
4. 動きが少ないのでよくかめます。
5. 動きが少ないので異物感が少ない。
6. 特別な外科処置、手術を必要としません。普通の歯科治療の範囲でできます。
よって高齢者、高血圧や糖尿病の方、その他の有病者、インプラントをするには難しいと言われた方でもできます。
7. 清掃がしやすい。介護をする方も、される方も非常に楽です。
口の中の衛生状態が、さまざまな全身疾患をひきおこすことが分かってきた現在、これは重要なことと思います。
年齢 | 60代男性 |
---|---|
治療費 | 979,000円(税込) |
リスク・注意点 | ・入れ歯は経年による劣化、日々の使用によって摩耗していきます。 ・日々のお手入れ、定期的な咬み合せの調整が必要となります。 |
リンゴを丸かじりできる見た目の良い部分入れ歯
初診時:側面観
「かめるようになりたい。」というのが主訴でした。
長い間、下に歯が無かった為、上の歯がとび出てきています。
歯ならびがデコボコしていると、あごがうまく動かなかったり、入れ歯がガタつくことは以前にも紹介いたしました。(参考1,2,3,4および前回の診療日誌)
このような場合、以下の選択肢があります。
1.ブリッジ(保険または自由診療)
2.インプラント
3.入れ歯(保険または自由診療)
この場合ブリッジは絶対やめた方がいい理由
咬虫歯が進行しすぎて残せそうに無い歯を抜歯すると連続で3本歯が欠損していることになります。
このような時に
「入れ歯はちょっと・・・。被せ物(ブリッジ)で何とかならないでしょうか。」と言う気持ちは分かります。
ところが希望を受け入れてブリッジにすると、あっという間に残っている歯までグラグラになって抜けてしまいます。
理由は過重負担です。
瀬戸大橋を想像してください。
もし瀬戸大橋に橋げたが無かったら橋はどうなるでしょうか。壊れて落ちてしまいます。
橋が落ちない様にする為に橋げたは存在します。
3本以上連続で歯が無い場合にブリッジを装着すると言うことは、橋げたの無い橋を作ることと同じであり、やってはいけないのです。そもそも、保険適用外です。
保険適用外の高い治療費を頂いて、あっという間に残っている歯をダメにするような治療をするわけにはいかないのです。
かみ合わせ分析
では、インプラントはどうでしょうか。
この場合はそれもいいと思います。
しかし、この患者様は高齢者であること、インプラントと言う手術に抵抗感があることからやめました。
残るは入れ歯です。
バネでひっかけるタイプの入れ歯のみ、保険適応です。
しかし保険の入れ歯はガタついてかみにくいばかりでなく、バネのひっかかっている歯が揺すられてダメになっていきます。また、バネが見えてしまいます。
以上より、テレスコープ・デンチャーに決定し、同意を受けました。
secret informationは、かみ合せの分析をする器具を患者様に装着している所です。(ご覧になりたい方は、「お問合わせ」から御連絡下さい。プライバシーの関係上、患者様の写真はお見せできませんので、サンプル写真をお送りします。)
かみ合せの分析をする機器を用いて、テレスコープ・デンチャーとブリッジを製作しました。
かみ合わせ分析
とび出ている歯を修正し、きれいな歯ならびに治しました。
下にはテレスコープ・デンャーという、保険と比べたら高価な入れ歯が入ります。
確かに、高い治療費を支払えばテレスコープ・デンチャーはできます。
しかし、デコボコの歯ならびのまま、高額な入れ歯を入れたのでは、効果は半減します。
家を建てることを想像してください。
お金をかけて床暖房やエアコンなどのオプションをたくさん付ければ快適な生活ができます。
しかし、有能な建築家は間取り・設計を考え、換気を良くして、快適な生活をおくれるようにします。
テレスコープデンチャーを評価するのではなく、かみ合せの分析をする機器を用いて製作した、設計力を評価していただけると、うれしく思います。
テレスコープ・デンチャー(テレスコープ義歯)
テレスコープ・デンチャーです。
下の写真はテレスコープ・デンチャーをはずした所です。
義歯をはずした時、歯はこのような被せ物になっています。
そこにテレスコープデンチャーを装着すると、上の写真の様にになります。
装着した直後に、オペラデンタルで用意したリンゴを試食して頂きました。何の問題も無く、召し上がって頂けました。
このテレスコープデンチャーの費用は以下の通りです。
¥572,000(税込)
内訳: 被せ物の部分¥176,000(税込)×2本=¥352,000(税込)義歯の部分¥220,000(税込)
術前術後
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術前
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術後
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術前
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術後
歯科医師から一言
どんな治療方法にせよ、利点と欠点は必ずあります。
テレスコープデンチャーは入れ歯と被せ物を一体化した形の入れ歯です。
入れ歯という物体が、口の中に入るということが欠点かと思います。
しかし、以下の様な利点があります。
1. 従来の入れ歯は、バネのかかっている歯がダメになると作り直しをしなければなりませんが、
テレスコープデンチャーは修理して使えます。壊れないわけではありませんが、修理して長く使えます。
2. 従来の入れ歯はバネでひっかけているので動きがありますがテレスコープデンチャーは動きが少ない。
3. 動きが少ないのでよくかめます。
4. 動きが少ないので異物感が少ない。
5. 特別な外科処置、手術を必要としません。普通の歯科治療の範囲でできます。
よって高齢者、高血圧や糖尿病の方、その他の有病者、インプラントをするには難しいと言われた方でもできます。
6. 清掃がしやすい。介護をする方も、される方も非常に楽です。
口の中の衛生状態が、さまざまな全身疾患をひきおこすことが分かってきた現在、これは重要なことと思います。
治療費 | 572,000円(税込) |
---|---|
リスク・注意点 | ・入れ歯は経年による劣化、日々の使用によって摩耗していきます。 ・日々のお手入れ、定期的な咬み合せの調整が必要となります。 |
※ご来院前に当院の入れ歯治療のページをご覧いただけるとスムーズかと思いますのでぜひご覧ください。
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