動かない・ガタつかない・よく咬める総入れ歯(総義歯)
投稿日:2016年10月28日
カテゴリ:03.入れ歯の症例
動かない・ガタつかない・よく咬める総入れ歯(総義歯)①
当院で実施した動かない・ガタつかない・よく咬める総入れ歯(総義歯)の症例をご紹介いたします。
土手のない下あご
65歳の男性。下あごの骨(歯ぐきの土手)の高さはあまりありません。歯ぐきの土手の高さが低いので、入れ歯は歯ぐきにひっかからず、上にのっかっているだけです。
そのため、入れ歯は口の中で動き回ってしまい、食事ができないとのことでした。
現在入っている総入れ歯
総入れ歯が安定するには、ある程度の大きさが必要です。
しかし、「大きくてどうしても入れられない」ということで、歯科医師に削ってもらったり、自分で削ったりして、このような状態になったそうです。
健康保険では、あごの土手の形に合わせて作るより他に方法はありません。
あごの骨が大きく無くなっている場合、舌や頬・唇の筋肉が入れ歯を押さえ込むように考えて作っていかなければならないのですが、それは保険適用外なのです。
舌や頬・唇の筋肉が入れ歯を押さえ込む
左は舌や頬・唇の筋肉が入れ歯を押さえ込むことを示した図です。
あごの土手の形を型どりすることは保険でできますが、筋肉の動きを考えた型どりは残念ながら保険ではできかねるのです。
かみあわせを診る
あごの土手の型どりの問題だけではありません。
かみあわせの問題もあるのです。
左上の写真はこの総入れ歯のかみあわせを分析したものです。
入れ歯が安定するには上下の歯が緑の線上でかみ合わなければなりません。しかし実際には後ろ下がりになり、赤線上となっております。
左下の写真は他の症例のものです。
この症例でも、かみあわせが後ろ下がりになっています。
現在の保険制度ではかみあわせの分析を行うのも難しく、あごの骨の少なくなった症例では、これら写真のように後ろ下がりの歯並びになってしまうのです。
かみこむ力はこれらの写真における垂直方向にかかります。
そのため,このかみ合わせでかみこむと、上の前歯にばかり力がかかってしまい、痛みだけでなく,入れ歯が後ろから外れてきてしまうのです。
舌や頬・唇の筋肉の動き、かみあわせを考えた総入れ歯(上)
上が舌や頬・唇の筋肉の動き、かみあわせを考えて、新たに作った総入れ歯です。下が以前のものです。
以前のものより後ろが短くなっています。そのため嘔吐感(オエッとする感じ)が少なくなったとのことです。
後ろが短くなりましたが、入れ歯は落ちてきません。頬や唇の筋肉が総入れ歯のふちをまきこんで、押さえ込んでいるためです。
舌や頬・唇の筋肉の動き、 かみあわせを考えた総入れ歯(下)
上が舌や頬・唇の筋肉の動き、かみあわせを考えて、新たに作った総入れ歯です。下が以前のものです。
あきらかに大きくなっているのですが、全く口の中でじゃまにならないそうです。適切なかみ合わせにすると、入れ歯は多少大きくなっても逆に違和感が少なくなるのです。
費用は上下で\660,000(税込)(\330,000×2)でした。
金属で作るともう少し費用がかかります。
しかし、金属に費用がかかるのではなく、舌や頬・唇の筋肉の動き、かみあわせを入れ歯の形にとり入れるという技術に費用がかかる
とお考え下さい。
歯科医師から一言
この症例は、完成まで5回、調整は3回でした。4回目の調整の時、調整は必要ないということで、上のような感想文を書いて頂きました。
すばらしい総入れ歯ではありますが、やはり、使いこなす練習も必要かと思います。
入れ歯は所詮、道具であると思います。
自分にあったゴルフクラブというものはありますが、スィートスポットに当てるには、やはり練習が必要であるとのと同じだと思うのです。
年齢 | 60代男性 |
---|---|
治療費 | 上下の入れ歯:660,000円(税込) |
リスク・注意点 | ・入れ歯は経年による劣化、日々の使用によって摩耗していきます。 ・日々のお手入れ、定期的な咬み合せの調整が必要となります。 |
※ご来院前に当院の入れ歯治療のページをご覧いただけるとスムーズかと思いますのでぜひご覧ください。
動かない・ガタつかない・よく咬める総入れ歯(総義歯)②
当院で実施した動かない・ガタつかない・よく咬める総入れ歯(総義歯)の症例をご紹介いたします。
あごの型どり
型どりをして模型を作ります。
健康保険の入れ歯は、この模型で作っていきます。
土手の形は型どりされていますが、舌や頬の筋肉の動きは型どりされていません。よって健康保険の入れ歯は歯ぐきの土手の上に乗っているだけとなります。
歯ぐきの土手の高い方は、土手に入れ歯が引っかかってくれますが、骨が吸収して土手がなくなった方は、入れ歯がすべって動いてしまいます。
健康保険には素材と技術に制限があります。その制限の中で歯科医師は工夫と努力しているのです。
残念ながら舌や頬の筋肉の動きを型どりする技術は保険外なのです。
舌や方の筋肉の動きを型どりする
最初の模型で土手の形はわかりました。
次にこの器具を用いて舌や頬の筋肉の動きを型どりします。
かみあわせを診る 1
歯とあごの関節の位置関係、歯列と頭蓋骨の位置関係を記録するための装置です。
この位置関係を記録することによって、かみあわせを考えた入れ歯を作ることができるようになります。
かみあわせを診る 2
歯とあごの関節の位置関係、歯列と頭蓋骨の位置関係、あごの動きを再現する器械です。
この器械に模型を装着して、総入れ歯をつくっていきます。
舌や頬・唇の筋肉の動き、かみあわせを考えた総入れ歯
石膏で頬や唇の形をつくります。
入れ歯は口の中で頬や唇にこの様につつまれ、押さえ込まれます。
舌や頬・唇の筋肉の動き、かみあわせを考えた総入れ歯
下、頬、唇に包み込まれているため、入れ歯のピンク色の部分は見えません。
費用は上下で\660,000(税込)(\330,000×2)でした。
金属で作るともう少し費用がかかります。
しかし、金属に費用がかかるのではなく、舌や頬・唇の筋肉の動き、かみあわせを入れ歯の形にとり入れるという技術に費用がかかる
とお考え下さい。
歯科医師から一言
この症例は、完成まで5回、調整は3回でした。4回目の調整の時、調整は必要ないということで、上のような感想文を書いて頂きました。
すばらしい総入れ歯ではありますが、やはり、使いこなす練習も必要かと思います。
入れ歯は所詮、道具であると思います。
自分にあったゴルフクラブというものはありますが、スィートスポットに当てるには、やはり練習が必要であるとのと同じだと思うのです。
治療費 | 上下の入れ歯:660,000円(税込) |
---|---|
リスク・注意点 | ・入れ歯は経年による劣化、日々の使用によって摩耗していきます。 ・日々のお手入れ、定期的な咬み合せの調整が必要となります。 |
※ご来院前に当院の入れ歯治療のページをご覧いただけるとスムーズかと思いますのでぜひご覧ください。
■ 他の記事を読む■