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噛み合わせを考えた入れ歯の症例

投稿日:2016年10月27日

カテゴリ:03.入れ歯の症例

噛み合わせを考えた入れ歯の症例①

入れ歯:何度作ってもがたつく理由

入れ歯左の写真は、何回作り直しても入れ歯ががたつくとおっしゃって来院された患者様の入れ歯です。
ひとめで原因はわかりました。入れ歯が悪いわけではありません。
下の自前の歯の歯ならびが悪いのです。
あごを動かすたびに下の歯が上の入れ歯に引っかかって入れ歯を揺り動かしてしまうのです。

きれいな歯ならびにすると・・・

入れ歯今ある歯にあわせるから、波うった入れ歯になります。
きれいな歯並びだと、かみ合いません。そこで・・・

かみあわせを作り直す

入れ歯入れ歯にあわせて、差し歯を作り直しました。
写真は仮り歯の状態です。

安定した入れ歯とは

入れ歯凸凹の山道と、舗装された道路を想像なさってください。
どんなに素晴らしい車でも凸凹の山道ではがたつきます。
舗装された道路なら、安価な車でもある程度快適に運転できます。
入れ歯とかみあっている歯との関係は車と道路の関係と似ていると思います。
かみこんでいる歯を舗装工事すると、凸凹がなくなるので
入れ歯が安定します。

 噛み合わせを考えた入れ歯の症例②

入れ歯が合わなくて痛いということで来院されました。

入れ歯術前

痛くてかめないということで来院されました。

入れ歯入れ歯の写真です。
この状態では何故かめないのかはわかりません。
なぜならば、口の中、頭蓋骨の中で入れ歯がどのような位置にあるかがわからないからです。

入れ歯咬合器という噛み合わせを分析する器械に装着した所です。
咬合器という器械は頭蓋骨内における歯の位置や、顎の筋肉にとっての咬みたい位置をしらべるのに役立ちます。

分析の結果、後ろへ歯ならびが傾いていることがわかりました。
かみこむ力はこの写真における垂直方向にかかります。
そのため、このかみ合わせでかみこむと、上の前歯にばかり力がかかってしまい、痛みだけでなく、入れ歯が後ろから外れてきてしまうことが考えられました。

注)自前の歯であるにもかかわらず、生まれつき後ろ下がりの方もたくさんおります。
ただし、そういう方はいったん入れ歯になった時、入れ歯製作が難しい場合が多いです。
この方もそのようなケースと思われます。

入れ歯前から見た所です。
前後の傾きのほかに、左右差もありました。
おそらく咬むたびに向かって左に顎が捻り込まれるであろうことが考えられました。

注)自前の歯でも左右差が極端にある人も大勢います。
臨床症状が無ければあえて左右差をなくす必要は無いと思います。
何事もやりすぎは良くないと思っております。
必要を術者(歯科医師)が感じ、患者様の同意を受けた時だけ、噛み合わせを考えます。

入れ歯左側から見たところです。赤線が理想的な歯の位置です。

入れ歯右側から見たところです。金属の台の平面が基準平面と平行となっております。

入れ歯前から見たところです。

歯科医師から一言

噛み合わせの学問は通常、大学では勉強するのですが、現実問題として現在の保険制度の下で、それを臨床に応用するのは非常に難しい状況になってしまっています。
さらに、保険適用外の入れ歯・かぶせもの・インプラント等々、目に見えるハードに関しては理解が広まっているのですが、噛み合わせといった設計にかかわるソフトの部分に関しては、まだ解明されていない部分も多く、一般的に広まっていないのが現状です。
以上の事を説明し、作り直しをおすすめいたしました。

入れ歯術後

新しく作った入れ歯です。金属の台が基準平面です。基準の平面に歯がきれいに並んでいます。

入れ歯上下の入れ歯をかみ合わせたところです。

入れ歯新しい入れ歯を装着した所です。
下でbeforeとafterとを比較します。

術前・術後の写真です。

  • 入れ歯術前

  • 入れ歯術後

術前後の比較(2)

術前の口もとは顔の下半分が短く、口もとにしわがよっておりました。
後ろ下がりのかみ合せの入れ歯の場合、下あごを突き出し、前歯で物を噛もうとするようになることもあります。術後の口もとでは、歯を見せて若々しく笑うことができるようになりました。また、奥歯で物を噛み潰すことができるようになりました。

  • 入れ歯術前

  • 入れ歯術後

術前後の比較(3)

左が術前、右が術後1ヶ月です背筋が伸び、右への体の傾きが少し変化したように見えます。

注)噛み合わせと姿勢・全身の不定愁訴との関係は未だ結論は出ていません。よって、体の不調歯を改善するための治療は行っておりません。
歯の治療の副産物として体の不定愁訴がよくなる人もいる、という程度にお考え下さい。

  • 入れ歯術前

  • 入れ歯術後

治療費 385,000円(税込)
リスク・注意点 ・入れ歯は経年による劣化、日々の使用によって摩耗していきます。
・日々のお手入れ、定期的な咬み合せの調整が必要となります。

噛み合わせを考えた入れ歯の症例③

初診時:正面観

入れ歯何度入れ歯を作り直しても、修理しても、がたついて痛いということで来院されました。
上の前歯は何度も壊れて取れているそうです。

「前歯が何度も取れている」ということを記憶しておいて下さい。

初診時:側方面観・右

入れ歯入れ歯の右下の部分はだいぶすり減っているようです。

「いきなり入れ歯を作っても以前と同じことの繰り返しです。何でうまくいかないのか分析してから入れ歯を作りましょう。」
と説明をし、同意を受けました。

初診時:かみ合わせ分析 側方面観・右

入れ歯模型にして分析した所です。
金属の台と平行に引かれた赤い線が、理想的なかみあわせにおける歯の長さです。

奥歯がひどく長く、前歯が短いと言うことが分かります。

初診時:かみ合わせ分析 側方面観・右

入れ歯咬奥歯がひどく長く、前歯が短いと言うことが上の写真で分かりました。かみ合わせが後ろに傾いているのです。

この様に後ろにかみ合わせが傾いている方は、下の奥歯に過大な力がかかり、下の奥歯がなくなりやすいのです。
そして、歯がなくなり入れ歯になっても過大な力がかかるので、いつまでたっても入れ歯が合わず痛むのです。

また、後ろ下がりのかみあわせの方は下の前歯が上の前歯を突き上げるので、上の前歯が取れたり、壊れたりするのです。

「前歯が何度も取れている」と言うのは、かみ合わせがおかしいことを示していたのです。

初診時:かみ合わせ分析 正面観・右

かみ合わせがおかしいのは前後差だけではありませんでした。
左右差もこれだけありました。

どんなに高級な外国自動車でも舗装されていないでこぼこ道を走ればガタつきます。
逆に軽自動車でも舗装された道なら滑らかに走れます。

入れ歯も同じです。
自前の歯にこれだけの前後差、左右差があればかみ合う入れ歯はガタついてしまいます。

ガタつきのある自前の歯に合わせて入れ歯を作っていたために何度入れ歯を作っても、調整しても痛みがとれなかったのです。

 

治療経過

「入れ歯を作ってほしい」と言うのが主たる訴えでしたが、以上を説明し、虫歯ではない上の歯を治療すべきことを説明し、同意を受けました。

写真は理想的なかみ合わせで作った被せ物です。
金属の台と平行になっているのが見てとれます。

正面から見ても左右差が改善されつつあります。

  • 入れ歯術前

  • 入れ歯術後

  • 入れ歯術前

  • 入れ歯術後

入れ歯下の入れ歯にあわせずに製作しているため、
下の入れ歯と かみ合っておりません。
下の入れ歯を理想的なかみ合せの上の歯に合わせていきます。

後編では前歯を理想的な歯並びにしていきます。

入れ歯前編の時点では歯の高さがそろっていたのは右側だけでした。
今回は、前歯と左の奥歯の高さをそろえていきます。
写真は、左の奥歯がそろってきたことを示しています。

入れ歯前歯もそろってきています。

 

術前の左右差

入れ歯上の写真と比較すると左右差がお分かりいただけると思います。

 

術前の前歯

入れ歯

新しく作った総入れ歯

15上の歯がきれいな歯並びになりました。
きれいな歯ならびに合わせて入れ歯を作り直しますので、完成した入れ歯もきれいな歯並びとなります。
あごの力も均等にかかり、入れ歯は安定してきます。

入れ歯

術前の模型

入れ歯

歯科医師から一言

かみあわせを考えながら入れ歯を作っていくと、入れ歯が安定してくることは確かです。

しかし、現在の保険制度では、保険ですべてを行うのは難しく、どうしても自由診療(自費治療)を取り入れる必要がでてきます。その点をどうかご理解下さい。
入れ歯の安定については、参考症例もご覧下さい。

また、当医院は多くの患者様を、いらした順に次々診療していくシステムではないため、ぜひともアポイントをおとりの上、いらして下さいます様、お願い致します。

※ご来院前に当院の入れ歯治療のページをご覧いただけるとスムーズかと思いますのでぜひご覧ください。

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